fashion eye NY
好きなフォトグラファーのひとり、保井崇志さん。彼がRECOで書いたこのエントリでソール・ライターについて知った。
名前は聞いたことがあるような?程度の印象だったソール・ライター。いわゆる写真集的なものを少しずつ集めたいなと考えなんとなく調べていたところだったこともあり、これは、と思う良記事だった。
ちなみに保井さんのこの企画もすごくおもしろい。気になる写真集だらけだ。
素人の僕にも分かるくらい、彼の撮る写真はどれも「保井さんっぽい」。これはたぶんすごいことで、自分の写真の好みもイマイチ分かっていない僕の目標とするひとりでもある。
ところで冒頭の写真は僕が生まれて初めて訪れた海外の地、アメリカはニューヨークでの9年前の一枚。カメラはRICOH R10だった。2月初旬の彼の地は「この時期にしては暖かい」とタクシーの運転手が言う程であっても僕にとってはやはり凍える寒さで、耳の痛さと冷たさを特にハッキリと覚えている。到着した日の曇り空の夜にはそれこそビリー・ジョエル「The Stranger」のイントロが聴こえてきそうなほどだったものの、晴れたセントラルパークとストロベリーフィールズの穏やかさ、トップオブザロックからの夜景、その辺の屋台で食ったやたら美味いホットドッグ、ソーホーで買ったレッドウイング…どれもこれも思い出深い。
マンハッタンの雑踏に立てば、街もそこですれ違う誰も彼も、異国の民である僕がどんな人種でどこからやってきたどういう人間なのかについてなんの関心も興味もなくて(かといって排除されるわけでもない)自然と「匿名」になってしまうような、とにかく不思議で心地良い気分になった。
ソール・ライターとはそんなニューヨークを舞台に活躍したストリートスナップの大家でありある種伝説の写真家らしい。ルイヴィトンのフォトブックシリーズ「FASHION EYE」ニューヨーク編として、独特のフレーミングでマンハッタンの(それ以外もだろうけど)情景をユニークに捉えたたくさんの写真が掲載されている。
ファッションフォトグラファーとしての経歴も長かったらしく、この手の本に収められるにはこれ以上ない人だと思う。街なかのショーウィンドウやクルマの写り込みを巧みに活かしている写真が多く、一体どうなってるの?とつい惹き込まれてしまう。なんとなく眺めているだけでも主題がなんなのかがハッキリ伝わってくる。「構図」がいかに重要かを痛感させられた。
以前からのファンからすると今さら、といった内容なのだろうし単純にソール・ライターの作品に触れるには写真集として発刊されているものを手に入れるのが一番良いのだろうけど、ルイヴィトンによるこういうアプローチで知ることができたという経緯もまた面白いなと。ちなみにこのフォトブックの存在はIKO NATSUKAWAさんのインスタグラムで初めて知った。
先人たちの写真に刺激を受けて今日も相変わらずカメラを持ち歩く。今日は21mmかな、50mmかな。
*1:ヴィトンで初の買い物。さすがの装丁の美しさ。これはシリーズで揃えたくなる。